「婿養子婚」って知っていますか?分かりやすく解説

「婿に行く」とよく聞きますが、婿と婿養子は違います。また、婚活における「婿養子」は特別な意味を持ち、様々なことが通常の婚活や結婚とは異なるので注意が必要です。でも、本当に、どうしても、結婚したいと思っている男性で婚活がうまくいかない人は、婿養子婚を考えてもいいかもしれません。リスクやデメリットはありますが、結婚だけではなく生活上も大きく人生逆転できるチャンスかもしれません。

婿と婿養子の違い

結婚時に女性側の姓になる男性の割合

戦後、民法が改正され、結婚後は男女どちらかの姓を名乗ることになりました(戦前は男性側の姓)。とはいうものの、実際は結婚後、男性側の姓を名乗る割合が多く、女性側の姓を名乗る「婿取り婚」は3%くらいだと言われています。

結婚して男性の名字が変わると「えーー」と驚かれるのはそのためです。もちろん、どちらの姓を名乗るのかは結婚する2人が最終的に決めることなので周囲が色々言うのはよくないですよね。

戦後男女平等になり、結婚も対等の地位で行われるようになりましたが、どちらの姓を名乗るかについてはまだまだ昔のままということのようです。

婿と婿養子は違う

結婚して男性の姓が変わると「養子になられたんですね」ということを言う人がいますが、婿と婿養子は違います。

多くの場合のように女性が結婚して男性側の姓を名乗るケースでは、女性は男性側の養子にはならないですよね。単に男性が女性側の姓を名乗るのが「婿」です。この場合、戸籍の筆頭者、世帯主は結婚した女性になります。

しかし、婿養子の場合は、男性と女性の親を養子縁組し、法律上女性の親の子供にしたうえで女性と婚姻をします(女性と男性は法的にはきょうだいになる)。

「きょうだい同士で結婚なんてできないじゃないか」と思われますが、養子と養方の傍系血族との間の婚姻については近親婚禁止の規定が適用されない(民法734条1項但書)=血がつながっていないからOKということで問題がないのです。

これによって男性は女性の夫となると同時に、女性の親の養子になるので、財産の相続権を得ることができます。

婿養子になることでどうなる?

婿養子になることで、嫁をもらった場合や単なる婿になった場合とは違った結果をもたらします。

・女性側の家の財産の相続権を得る(同時に子供になるわけなので)
・戸籍上の世帯主が男性になる
・女性側の親の扶養義務を負う

財産も譲り受けますが、同時に実子と同等に相手の親の面倒を見ないといけなくなります。そうなると男性は自分の親に加えて相手の親の扶養義務も持つことになり大変なので、結婚時に自分の家の財産放棄(親の財産を譲り受ける権利を放棄)すると当時に、親の扶養義務も負わない手続きを取ってくるケースもあるようです。

婿養子を求めている人はどういう人

子供が女性しかいないなど、このまま嫁に出すだけだと、その家系が途絶えてしまい、何とかして家を存続させたいケースで婿養子を探す人が多いです。

家業を営んでいて跡継ぎが欲しい、娘の夫に家業を継いでほしいが会社員だと難しい。家姓そのものを引き継いでもらいたい場合など、訳アリのケースが多いです。

単なる婿だと結婚した男性には財産の相続権がありません。家や家業を継がせておいて財産の相続権がないと、やはり婿に来てくれる男性はいないでしょう。

だから、財産もあげるから婿に来てください、ということで養子縁組をして婿養子にするわけです。

養子縁組は男性に限った話ではありません。女性を男性側の養子にしたうえで結婚する「嫁養子」というものも婿養子よりも少ないですが存在しています。

老舗の家業を継がなければならないところは、昔は家同士のお見合いなどで婿養子を探していました。ただし、今はそういう仲人が減っているので大変になっています。

婿養子婚は通常とは流れが逆

婿養子婚は、男性に家を捨てて女性側の家族&息子になってくださいということですので、通常の婿以上に男性側にとってハードルがあります。したがって、通常の結婚の流れは「男性が女性をお迎えする」ことになりますが、それも逆になります。

女性側が誠心誠意を尽くして男性に来てもらう形になります。したがって

・結納や結婚にかかわる費用は女性側が持つ
・結納も女性→男性に行う(通常は男性→女性)
・結納金等は通常のケースよりも高い(一説には倍というケースも)
・席上は男性側が上座、女性側が下座(通常は逆)

婚活では男性が女性をエスコートしてください、と常日頃言っていますが、婿養子婚に関しては男性は完全にお客様待遇を受けることになります。結納金も1000万円単位で男性側に支払われることもあるようです。

婿養子になるデメリット

まず婿養子のデメリットについて考えます。

相手の親の扶養義務

実の親ではないのに、最後まで面倒を見なくてはいけなくなります。家を継ぐのだから当然と言えばそうなのですが、そこまで情がわくかどうか・・、でも法的な義務になります。

また、実子と同等の地位になりますから、例えば事故や病気で妻が亡くなってしまった場合も、亡くなった妻の親の扶養義務はそのまま残ります。亡くなった妻の血がつながっていない親を世話しなくてはならないということです。

後妻探しなどは困難を極めます。前妻の実家に全く関係ない女性が嫁に行くというのは相当な覚悟になりますよね。親も男性も女性もどう接していいのかわからなくなります。

離婚してしまった場合

何らかの理由で離婚しなくてはならなくなった場合、離婚自体はできますが、養子縁組の関係は残ります。もう夫婦ではないのに家族関係は法的に続くという微妙な関係になってしまいます。

手続きを取って養子縁組は解消できますが、通常の離婚よりも面倒です。ただでさえ、お互いに消耗する離婚ですが、その何倍もストレスとエネルギーがかかってしまうことになります。相応の覚悟で婿養子にならないといけなそうです。

婿養子のメリット

婿養子になることはもちろんメリットもあります。

相手の財産などが手に入る

財産目当てで結婚するというのはもちろん感心しませんが、婿養子婚希望の家は継がせたい財産や資産、事業などがあるケースが多いと思います。知らない人たちと一緒にやっていくわけで大変ですが、自分の生活が結婚前と比べて豊かになる可能性はあります。

ただし、財産を相続できるということは負債も相続しなくてはならないことになります。経営が失敗すれば自分がすべてを被らなければならない、非常にリスクがある選択でもあるわけです。

キャリアをリセットできる

女性側の家業、事業を継ぐケースの婿養子婚の場合、これまでの仕事を辞めて婿に行くことになります。つまりキャリアがリセットされてしまうということです。やっていた仕事を評価されてその経験が生きることもありますが(建設会社に勤めていた人が建築屋を継ぐ)、全く畑違いの仕事をすることになるかもしれません。

業種が違う会社に転職した時と同じことが起きて、なかなか仕事をおぼえるのが大変かもしれないですが、チャンスでもあります。

「跡取り婿」としての地位を手に入れて結婚することになりますから、それまでの会社で不遇だった場合や、転職に失敗してしまった場合、病気で退職を余儀なくされてしまった場合など、人生設計が大きく乱れてしまっていたケースの修正が利くかもしれません。

逆玉までは行かないかもしれませんが、「最悪嫁に行けばいい」と女性の場合言われることの(時代錯誤かもしれませんが)逆バージョンで、婿養子に行くことで壁に当たっている人生の起死回生を図ることができるようになる、かもしれません。

婿養子婚と婚活の市場価値

婿養子に行ってもいいという男性は少ないので、婚活市場では婿養子婚は基本的に男性側の「売り手市場」になっています。これまでの仕事を捨ててもいいという人でなければいけないので、女性側は男性に対するハードルを下げている可能性があります。

つまり、通常の婚活ではおおよそ結婚できないような若い人や美人と結婚できる可能性があるということです。あるいは、全くモテない感じの男性でも、とにかく家を継いでほしいということで結婚できるかもしれません。

仲人型結婚相談所の場合も、婿養子婚については男性側からの成婚料を一切求めないなど(その代わり女性が倍払う)特段の配慮が払われるところもあります。

婿養子を探したくても探すツテがこの時代ほとんどないため、婿養子に行ってもいいという男性はまさに「金の卵」として重宝されるはずです。

というわけで、従来の婚活を続けても全然成果が出ない。けれどもどうしても結婚したい男性、あるいは病気や転職などでこの人生再起を図りたい人の「最後の手段」として婿養子婚という選択肢を提供いたします。

女性の家族は温かく迎えてくれるはずです。ただし、モテないことを改善しないで安易に婿養子に行けばいいやと考えていてはダメです。前向きに改善していく姿勢は当然ですが求められますし、婿養子を希望する女性側もスペックが男性がいいに決まっています。供給がないため、通常の婚活よりも条件が下がっていると思ってください。

婿養子婚をするためにはどうすればいい?

では婿養子婚をしたい人はどうすればいいのでしょうか?

婿養子に詳しいお見合い仲人

一番確実なのは家と家とのお見合いです。とはいえ、そういうツテがあるならば、その前に普通の縁談がありそうなわけですが、何とかして婿養子の縁談を取り持っている仲人を探すのが近道になります。

色々な人に今の自分の状況を分かってもらい、手助けしてくれる人が入れば・・・ありがたいことです。あとは、地域の有力者がそういう話を持っている可能性がありますが、そこまではここでやり方は書けませんし、筆者にもそういう知り合いはいません。

婚活パーティー

その辺の婚活パーティーはまず無理で、超大手の婚活パーティー(エクシオやPARTY☆PARTY)などにひょっとすると「婿養子希望の女性参加」というものがあるかもしれません。ただし、どこまで真剣に婿養子を探しているのかわからない面もあります。

婚活パーティーだとやはり評価基準は「婚活パーティー」になってしまいますので、つまり女性が男性を選ぶ感じになります。そもそも、パーティーの時間で女性側の家庭の事情を把握することは難しいでしょう(本当にそうなのかもわかりませんし)。

仮にそういうパーティーがあったとしても、試しに参加してみるくらいにしておいたほうがいいかもしれません。

婚活サイト

そもそも婿養子を抽出する選択がないはずです。用語で抽出することもできますが、そういうことをプロフィールに書いている人はまずいません。

大手結婚情報サービス

ここは無理です。データマッチングで婿養子希望云々はなかったと思います。

仲人型結婚相談所

一番可能性があるとしたらここになります。「婿養子 結婚相談所」で検索して上位に来たところがいい、と思うかもしれませんが違います。そういうところは、それで検索上位に来るようにSEO対策をしているだけです。

中の人が特段婿養子に詳しくて、独自のネットワークを持っていることはあまりありません。ですので、どこかに入会して自分で会員データの中から婿養子婚のために動く必要があります。

幸い、希望条件に
(女性)「婿養子希望」
(男性)「婿養子可」
がありますので、自分のプロフィールを「婿養子可」で登録します。

その後、

・「婿養子希望」の女性にひたすら申し込む
・女性から申し込まれるのを待つ

の2面作戦で行きます。相談所の人の推薦文にも「どこへでも婿に行くと言っています」と書いてもらい、自身もなぜ婿養子でいいのかを説明できるように論理的にプロフィールを組み立ててください。

ただし、「婿養子希望」の女性は多くないです。数万人の結婚相談所会員でも100人に満たなかったと思います。だから、弾を打ちつくしてしまうと(全員に申し込んでしまうと)なかなか大変になります。

結婚「相談」所ですから、中の人に少しでもうまくいくためにどうすればよいのか、相談してみてください。

とボールを投げてしまっても申し訳ないので、婿養子のツテがありそうな(何とかしてくれそうな)結婚相談所を紹介します。

・アサップマリッジ
https://www.asapmarriage.com/achild/

名古屋にある結婚相談所で、担当の方が独自の仲人ネットワークを持っていらっしゃいます。一度、問い合わせてもいいかもしれません。

ただし、ご存知のように愛知県は「男余り」で有名です。地元の男性の結婚(嫁探し)が優先されるかもしれません。

結局、会費が高い結婚相談所に入って何も紹介されないよりも、なるべく安いところに入って自分で検索して探すのが大切です。婿養子に本当に行きたいのであれば、日本中どこの人でも申し込むくらいの覚悟を持ってください。

婿養子婚も決して簡単ではないですが、結婚したい人の「奥の手」として頭の中に入れておいていただければと思います。

「婿養子婚」で知っておきたい事 まとめ

・今の日本では男性側の姓を選択するケースが圧倒的
・だからこそ家を継いでもらえる婿養子はニーズがある
・「婿」と「婿養子」は違う
・婿養子になってもいい男性が少ないので女性側の男性への条件は下がる
・婿養子になると相手の親の扶養義務などが発生し、万が一離婚するとき困る
・男性がこれまでのキャリアを刷新して新しく生きるための選択肢として婿養子婚はあり
・婚活で婿養子の縁談を探すのはなかなか大変
・仲人型結婚相談所に入ってピンポイントで探すのが最良の方法
・「婿養子婚に強い」結婚相談所はあまりない